ホームステージングは、賃貸物件の空室が埋まらない問題を解決する方法として今注目されています。
家具や照明を配置しモデルルームのように演出することで、内見した人に「住みたい」と思ってもらいやすくなるかもしれません。
本記事では、ホームステージングの具体的な効果や方法、費用について詳しく解説します。
ホームステージングは「空室がなかなか埋まらない......」というオーナーさまの悩みを解決する方法の一つで、販売したい部屋に家具や照明、観葉植物などを配置して、モデルルームのように演出する手法です。
ホームステージングによってお客さまが物件に魅力を感じれば「ここに住みたい！」という希望を引き出せる可能性があります。
また、空室期間を短縮する効果も期待できるでしょう。
本記事では、ホームステージングが注目を集める理由や期待できる効果、具体的な実践方法、さらには費用相場、DIYで始める方法まで詳しく解説・ご紹介します。
空室にお困りのオーナーさまは、ホームステージングの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
ホームステージングが注目を集める理由
ホームステージングが注目を集める理由には、以下の要因が関わっていると考えられます。
● インターネットの普及
● テレワークの推進
● 中古物件の需要の高まり
まずインターネットの普及により、オンラインでの物件探しが一般的となりました。
そのため、画像で見たときに分かりやすい視覚的な魅力がある物件が一層選ばれやすくなっています。
次にテレワークの推進です。
自宅での快適な生活環境を求める人が増え、モデルルームのように整えられた物件が、お客さまに好印象を与えやすくなっていると考えられます。
最後に中古物件の需要の高まりです。
ホームステージングはもともとアメリカで始まりましたが、日本でも中古物件の需要が増加したことで、関心が高まっていると考えられます。ホームステージングの認定資格を持つ専門家も増えており、需要はさらに広がっていくでしょう。
ホームステージングで得られる3つの効果
ホームステージングを導入すると、なぜ物件を検討するお客さまが好印象を抱きやすくなるのでしょうか。
ここでは、ホームステージングで得られる3つの効果を紹介します。
1. 実際の生活をイメージできる
ホームステージングを行うことで、お客さまが実際の生活をイメージしやすくなります。
何もない空間では実際に暮らすイメージが掴みにくいですが、家具や照明を配置することで、生活感や使い勝手をお客さまに伝えられます。
また家具のサイズ感が分かることで、空間の広さをより具体的に把握してもらえるでしょう。
さらに家具選びや配色にこだわり、おしゃれな雰囲気を演出することで、お客さまに「ここに住みたい」と感じてもらえるかもしれません。
このようにホームステージングにより入居後の生活が想像しやすくなることで、契約への後押しとなる可能性があります。
2. 成約までの期間を短縮できる
ホームステージングには、物件の成約までの期間を短縮する効果も見込めます。
一般社団法人日本ホームステージング協会の調査によると、ホームステージング実施前後で成約までの期間を比較した結果、回答者の半数以上が「短くなった」と答えています（※）。
多くの物件が掲載される中で、家具・家電・照明などでホームステージングされた部屋の写真はお客さまの目を引きやすく、詳細ページを開いてもらうきっかけになるのです。
ホームステージングを行うことで物件に興味を持ってもらうチャンスが増え、早期契約につながりやすくなるでしょう。
※参考： 一般社団法人日本ホームステージング協会「ホームステージング白書 2023」.“ホームステージング実施前との比較”.https://www.homestaging.or.jp/file/20240719hakusyo2023.pdf ,（参照2024-10-09）.
3. 部屋のマイナス面を隠せる
ホームステージングには、部屋のマイナス面を隠す効果があります。
シンプルな内装の部屋は、家具がないと殺風景な印象を与えやすいですが、家具や小物でおしゃれに見せると、意識の向く方向が変わります。暗い部屋や小さな傷、窓からの景色が良くない場合でも、魅力的なインテリアで空間を演出することで、マイナス面が目立ちにくくなるでしょう。
あまり人気のない3点ユニットバスであっても、小物や観葉植物を配置することで、ホテルのような雰囲気を作り出せます。
【方法別】ホームステージングのメリット・デメリット
ホームステージングの方法には以下の3通りがあります。
● 自分で行う
● 業者に依頼する
● バーチャル上で行う
ここではそれぞれの方法のメリット・デメリットを解説します。
自分でホームステージングを行うメリット・デメリット
ホームステージングを自分で行うメリットは、低コストで自由に空間を設計できることです。
一方で時間や労力がかかることや、電気・水道回りなどの資格が必要となる工事を実施できないことがデメリットとして挙げられます。
またインテリアに関する知識のない方が自己流でホームステージングをしても、物件の魅力を引き出せないかもしれません。
自分で行うホームステージングは、ある程度のレイアウトの知識がある場合や、部分的な変更を行いたい場合に適した方法といえるでしょう。
業者にホームステージングを依頼するメリット・デメリット
業者にホームステージングを依頼するメリットは、プロの知識と経験に基づく効果的な空間演出が期待できる点です。
特に大規模な変更を行う場合や、電気・水道回りなどの専門的な工事が必要な場合は、業者に任せた方がよいでしょう。
さらに業者によっては家具のレンタルも可能な他、ホームステージング協会認定資格を持つ専門家に依頼できる点も魅力です。
一方で、他の方法に比べて費用がかかることはデメリットです。
空室による損失とのバランスを考えて業者への依頼を検討してください。
業者によるホームステージングは、ご自分で作業する時間が取れない場合や、ターゲットに合わせたより効果的な演出を求める場合に適した方法といえるでしょう。
バーチャルホームステージングのメリット・デメリット
バーチャルホームステージングとは、バーチャル空間上の部屋にインテリアを配置し、お客さまに実際の生活を想像してもらう方法です。
バーチャルホームステージングのメリットは、実際の家具などを用いないため低コストで手軽に実施できる点が挙げられます。
またCGを活用して一つの物件で複数のデザインを見てもらえる他、前の住人が居住中でも別のパターンの内装を試してもらえることも利点です。
家具の追加や削除も簡単にでき、家具がない状態との比較も容易です。
一方で、実際の部屋を見てもらう場合に比べると訴求力がやや劣るというデメリットもあります。
また業者によってはCGの品質に差があるため、業者選びに注意が必要です。
バーチャルホームステージングは、コストを抑えたい場合や複数の内装パターンを見せたい場合に適した方法といえるでしょう。
ホームステージングの費用相場
一般社団法人日本ホームステージング協会が実施した実態調査を基に、ホームステージングにかけられている実際の費用を見てみましょう。
調査によると、ホームステージングを行う物件の平均家賃は「5万～10万円未満」が最も多く、全体の60.7％を占めています（※1）。
続いて、ホームステージングにかけた費用を見てみると「3万～5万円未満」と「5万～10万円未満」が同率で38.2％という結果でした（※2）。
ただしバーチャルホームステージング・リフォーム・不溶加材回収・家具販売費用は除きます。 つまり実際にホームステージングにかけた費用は、3万～10万円未満が大半を占めることが分かります。
次にホームステージングの方法別に、費用相場の目安を見てみましょう。
ホームステージングの方法 費用相場
自分で行う 数千円～
業者に依頼する 15万円～
バーチャル上で行う 1万円前後～
自分でホームステージングを行う場合は、そろえるものによって費用が変動します。
小物だけなら数千円～、家具や照明などもそろえるなら数万円～と考えておきましょう。
また自分で撮影を行う場合は、撮影機材の購入費用がかかる場合もあります。
業者にホームステージングを依頼すると、上記のように他の方法と比べてコストがかかります。
そのため物件を一度市場に出し、なかなか借り手が見つからない場合に依頼を検討するとよいかもしれません。
費用を抑えたい場合は自身で行うか、またはバーチャルでのホームステージングがおすすめです。
費用がかかってもプロ目線でレイアウトしてほしい場合は業者にホームステージングを依頼するとよいでしょう。
※1 参考： 一般社団法人日本ホームステージング協会「ホームステージング白書2023」.“ホームステージングする物件の平均家賃（複数回答）”.https://www.homestaging.or.jp/file/20240719hakusyo2023.pdf ,（参照2024-10-09）.
※2 参考： 一般社団法人日本ホームステージング協会「ホームステージング白書2023」.“ホームステージングにかけた費用（複数回答）”.https://www.homestaging.or.jp/file/20240719hakusyo2023.pdf ,（参照2024-10-09）.
DIYでホームステージングを行う5つのポイント
最後にDIYでホームステージングを行う5つのポイントを紹介します。
色選び
1つ目のポイントは色選びです。 まず壁・天井・床などのベースカラーを決めましょう。
次にソファーやキャビネットといった大型家具のメインカラー、そして照明やクッションなどのアクセントカラーを加えて、バランスを調整します。
落ち着いた雰囲気を出したい場合は、黒と茶などの類似色を使い、コントラストを強調したい場合は、白と黒などの反対色を活用するとよいでしょう。
色の組み合わせ次第で、ヴィンテージ風やモノトーンなど、さまざまな印象を演出できます。
家具選び
2つ目のポイントは家具選びです。
家具選びはターゲット層を意識することが大切です。
ターゲットであるお客さまに「住みやすそう」と思ってもらえるよう、カラーやデザインに配慮した家具を選びましょう。
例えば学生や在宅ワーカーをターゲットにする場合、作業に適した椅子や机、観葉植物を使って集中できる環境を作ります。
特に大型家具は内見者の印象に残りやすいため、素材や色にも注意が必要です。
スタイリッシュな雰囲気、落ち着いた雰囲気など、ターゲットに合わせた家具選びが重要になるでしょう。
小物選び
3つ目のポイントは部屋のアクセントとなる小物選びです。
小物選びはバランスが肝心です。小物が少なすぎても多すぎても、アクセントとしての効果は薄れてしまいます。
家具や家電とのバランスを考えながら、目立ちすぎないように配置しましょう。
机にカップや雑誌を置くなど、少し生活感を出すのもポイントになります。
その際は、小物が主張しすぎていないかチェックし、全体的な調和を保つよう心掛けましょう。
空間のバランスを崩しそうな小物は、思い切って取り除くことも大切です。
照明選び
4つ目のポイントは照明選びです。
照明は物件の雰囲気を大きく左右します。
そのため照明を選ぶときは、デザインや明るさが空間と調和しているかどうかをしっかり確認しましょう。
落ち着いた空間を作りたい場合は暖色系を、仕事スペースには寒色系を選ぶなど、用途に応じて使い分けることがおすすめです。
デザイン性の高いテーブルライトやスポットライトなどの間接照明を取り入れ、光の濃淡を楽しむのも効果的です。
また暗くなりやすい隅々まで照らすことで、部屋を広く見せる効果も期待できます。
撮影方法
5つ目のポイントは撮影方法です。
まず、ホームステージングの撮影では広角レンズを使用する場合が多いため、画像の歪みに注意が必要です。
不自然さを感じさせないために、壁やドアが垂直になるよう気を付けて撮影しましょう。
キッチンはやや高めの視点から撮影することで、コンロや流し台の使用イメージが伝わりやすくなります。
また風呂やトイレ、廊下などの狭いスペースは、カメラを縦にして撮影するとスッキリとした印象になります。
このように物件や各部屋の魅力がお客さまに伝わるよう、撮影角度を工夫することが大切です。
ホームステージングは物件の魅力をお客さまに伝える方法の一つ
ホームステージングをすることで、お客さまが実際の「暮らし」をイメージしやすくなります。
ホームステージングでは適切な色や家具、小物、照明などを選ぶとともに、撮影にも気を配ることが大切です。
ターゲットであるお客さまの雰囲気に合ったインテリアを配置し、魅力的な画像を使用することで、入居後の生活を具体的に想像してもらいやすくなるでしょう。
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