歴史的な建築物が多い京都では、
東京や大阪のような高い建物を見かけることがあまりありませんが、
それには理由があるのをご存じでしょうか。
本記事では京都で高い建物が作れない理由について解説します。
また、今後の高さ制限の緩和についても紹介いたします。
写真引用:【写真AC】
【なぜ京都は建物の高さに上限がある?】
京都の建物の高さに制限があるのは、全国でも厳しい景観政策を実行しているためです。
京都市では京町家などの街並みや景観を守るために、2007年から建物の高さを制限する新景観政策を実施してきました。
特に、京都市内をいくつかのエリアに分類し、エリアごとに規制を設けてきたことから、街並みの保全に成功してきたといえます。
【京都の景観ガイドラインとは】
京都市では市街地の景観や眺望景観に関する建築物や広告物の規制についてわかりやすく説明するために景観ガイドラインを設けています。
ここでは、京都との景観ガイドラインに記載されている建築物や広告物などの制限について見てきましょう。
【建築物の高さ】
京都市が2007年9月から実施している新景観政策では、高度地区での最高限度が10m、12m、15m、20m、25m、31mmの6段階となっており、それぞれの市街地の特性に応じて高さ規制が設けられています。
高度地区とは都市計画法に基づく地域地区の1つで、用途地域内で市街地の環境維持や、土地利用の増進のために、建築物の高さに制限が設けられている地区のことです。
現在、京都市内のエリアごとに4種類の高度地区が設定されており、地区ごとに建築物の高さの最高限度が設けられています。
例えば、京都市内のビジネス街にあたる四条河原町交差点や四条烏丸交差点などの大通りに面した地域は、建築物の高さの最高限度が31mとなります。
また、鴨川や鴨川の東側を通る川端通に面した地域の最高限度は12mです。
このように、地域の特性に応じて京都市が設けた高さ制限によって、各エリアの建築物の高さが制限されています。
※出典:京都市情報館. 「京の景観ガイドライン 建築物の高さ編」. https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000281/281294/guideline_takasa.pdf, (2023-05-04).
【建築デザイン】
京都市の新景観政策では、都市景観の保全や形成を図るために、市街地のほぼ全域が風致地区や景観地区、建造物修景地区などに指定している他、各地域の特性に合わせたデザイン基準が設けられています。
特に、景観地区では建築デザインに関する共通基準と、地区ごとの景観特性を活かした建築デザインの地区別基準を設けているのが特徴です。
共通基準では、屋根の色彩や塔屋の高さ、外壁の形状など、建築物をデザインする際の配慮などを定めています。
例えば、日本瓦や平面瓦を使用する場合は原則いぶし銀とすることや、銅板以外の金属板やその他の屋根材を使用する場合は原則光沢のない濃い灰色か黒にするなどといったデザイン基準が定められています。
地区別基準では、各地区の特性に応じて屋根の勾配や軒の出の寸法、屋根材、外壁材などのデザイン基準が設けられている他、地区によっては低層・中層・高層の規模によってそれぞれデザイン基準が設定されているのが特徴です。
例えば、京都の中心部の旧市街地型美観地区では、次のようなデザイン基準が設けられています。
- 屋根は特定勾配屋根(原則として軒の出60cm以上)とすること
- 道路に面する1、2階の外壁に軒庇を配置すること
- 外壁は歴史的町並み等と調和した形態意匠にすること など
※出典:京都市情報館. 「京の景観ガイドライン 建築デザイン編」. https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000281/281294/guideline_zentai20230406.pdf, (2023-05-04).
【眺望景観】
京都市では2007年9月から施行されている新景観政策に合わせて、京都独自の条例である京都市眺望景観創生条例を制定しています。
眺望景観の保全や創出のために規制が必要な地域を眺望景観保全地域にし、建物の高さや形態、意匠、色彩などについて基準が設けられているのが特徴です。
例えば、清水寺や修学院離宮、銀閣寺など、市街地を見下ろす眺望が大切な場所について、その眺めに配慮するために視認できる範囲について屋上施設の規制や勾配屋根の設置など、屋根景観の形態や意匠など、デザインの規制が適用されます。
※出典:京都市情報館. 「京の景観ガイドライン 眺望景観編」. https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000281/281294/Guidelines_View_1st.pdf, (2023-05-04).
【広告物】
京都市では昭和31年から制定した屋外広告物条例によって、屋外広告物の表示に京都市長の許可を義務付けており、全国的な企業のコーポレートカラーであっても京都にふさわしいデザインへの変更を求めるなど規制・指導を実施してきました。
2007年の新景観政策の実施に合わせて屋外広告物の制度が大幅に見直され、地域ごとの景観特性などを踏まえた規制や優良な屋外広告物の誘導などを行っています。
※出典:京都市情報館. 「京の景観ガイドライン 広告物編」. https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000281/281294/R2.4.1koukokubutuhen.pdf, (2023-05-04).
【京都の代表的な高い建物】
京都には建築物に対して厳しい規制がある一方、高い建物がいくつか存在しています。
京都で代表的な高い建築物は次のとおりです。
- 京都タワー(京都市下京区)
- 日本電産本社ビル(京都市南区)
- 京セラ本社ビル(京都市伏見区)
- 京都駅ビル(京都市下京区)
- ホテルオークラ京都(京都市中京区)
- 東寺五重塔(京都市南区)
【今後の京都は建物の高さ制限が緩和へ】
2022年10月、京都市は市内南部などで建物の高さ制限を緩和することを発表しました。
オフィスや住宅の供給を増やす狙いがあると見られています。
高さ制限が緩和されるエリアと具体的な緩和策は次のとおりです。
- 京都駅南側(烏丸通沿いなど):高さ20mから31mに
- 近鉄上鳥羽口駅周辺:容積率400%から1000%に
- 市東部の外環状線沿い:高さ31mから制限なしに(容積率は最大700%)
- 市西部の西院駅周辺など:高さ20mから31mに
- JR向日町駅周辺など:高さ31mから制限なしに
ただしそれぞれに用途などの条件があります。
※出典:京都市「「みんなが暮らしやすい魅力と活力のあるまち」
の実現に向けた都市計画の見直しについて」,https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000310/310821/tirasi-sekoji.pdf,(参照 2023-05-28)
2007年から導入された新景観政策は、京都の街並みを守るという視点では効果的でしたが、一方で市内中心部の住宅価格の上昇やオフィス不足が発生し、子育て世代や企業の市外流出といった課題が発生していました。
規制が緩和されるエリアが今後どのような変貌を遂げるのか注目されます。
今回は京都に高い建物が作れない理由や高さの緩和についてについて解説しました。
京都には景観ガイドラインが定められており、建築物の高さや建築デザインなどについて規制されていますが、
一部エリアで高さ制限が緩和されるなど、景観政策にも動きが見られています。
京都の景観と都市開発のバランスがどのように変化していくのか、注目すると面白いのではないでしょうか。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF170P40X11C22A0000000/
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20220930-OYO1T50000/
https://www.pref.kyoto.jp/toshi/keikanjyourei.html
https://www.pref.kyoto.jp/toshi/1188350303097.html
https://www.pref.kyoto.jp/toshi/documents/1188465118833.pdf
https://www.pref.kyoto.jp/toshi/documents/1188465118907.pdf
https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000281294.html
https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000281/281294/guideline_takasa.pdf
https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000281/281294/guideline_zentai20230406.pdf
https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000281/281294/Guidelines_View_1st.pdf
https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000281/281294/Guidelines_View_2nd.pdf
https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000281/281294/R2.4.1koukokubutuhen.pdf
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